仕事がなく、暇で仕方がない。
だったら、何をする?
我々は太宰府天満宮に梅が枝餅を食べに行ったり、背振山までドライブに行ったりと、大変有意義な時間の使い方をした。
およそ社会人・企業人としてあるまじき方向性で。
自分も含めたあの当時のメンバーを、いま、ここに連れてこられるとしたら。
我々はまず間違いなく丸一日を説教に費やすことだろう。
お前ら働け、営業しろ、アポ取れ、その他諸々、と。

設立して一年、二年目くらいまでは、皆若く、いや、幼すぎたのだろう。
「会社組織」として活動しているという意識よりも「大学のサークル活動」の感覚が抜けきっていなかったに違いない。
貧しさは、自業自得の賜物であるのは明白であった。
大学卒業直後に仲間たちだけで起こしたベンチャー企業が次々と消滅していく原因の一つは、ここにあると確信する。
IT産業の歴史が他と比較して極端に短いものである以上、この壁にぶち当たるのはある意味宿命かもしれない。
組織が組織として運営されるためには、経験豊富な「大人」の存在が欠かせないという現実を、我々は身をもって体験したのである。

だが、あの頃みたいにふらぁっと太宰府天満宮に遊びに行きたいと思うこともある。
締切が詰まって絶望的な気分になった時なんかは、特に。